山田 萌心
山田 萌心
MOEMI YAMADA卓球クラブチーム「明誠U15」所属
「小学生時代の勝利体験、憧れの選手との出会いが深めた“卓球愛”」
―卓球を始めたきっかけは。
4歳のとき両親の勧めで卓球クラブに体験見学に行ったのがきっかけです。二つ年上の姉と一緒に始めました。小さな子から高校生まで参加しているクラブで、最初は楽しいだけでしたが、小学2年生のとき県大会で優勝し「もっと勝ちたい」と思うようになりました。
―打ち込むようになった理由を教えてください。
小学5、6年生ごろは友だちと遊ぶ方が楽しくて、卓球をやめたいと思うこともありました。ちょうどそのころ、ろうあ者の試合があることと、ろうあ者の選手上田萌さんを知りました。萌さんが世界大会で強豪中国の選手を倒して優勝する姿を見て「すごい!カッコいい!」「私も世界大会でメダルを取りたい」と意識が変わりました。その時から、今も変わらず、ずっと憧れの選手です。卓球を通じて友たちができ、努力をすれば結果が出て、自分に自信が持てるようになった。あの時辞めなくて本当に良かったと思います。萌さんのおかげです。
「練習環境求めて転校」
―小学校の途中でろう学校から地元に転校した理由は。
本格的に卓球競技に取り組みたい、というのが理由です。生まれつき難聴で、補聴器を着けていますが、健聴者の大会でも上を目指したいと思いました。地元の益田市には強豪明誠高校と連携しているクラブチーム「明誠U15」があり、強い高校生選手と一緒に練習ができるのが魅力でした。中学校では部活動と並行してクラブの練習に参加。明誠高校2年の姉と一緒に練習できるのも心強いです。
―「明誠U15」のコーチは、石川佳純、伊藤美誠ら五輪選手を育てた元日本代表コーチの岸卓臣・明誠高校卓球部総監督ですね。普段の練習内容は。
クラブの練習は毎日です。平日は学校が終わると明誠高校の卓球場に向かい、夜8時くらいまで3時間くらい、試合前はもっと練習します。日により異なりますが、軽く打った後にフットワークをして、腹筋、背筋、腕立て、体幹トレーニングなどを盛り込みながら自主課題に取り組み、最後に試合形式の練習をします。クラブ所属の中学生13人のほとんどが県外出身で、寄宿舎生活をしながら卓球に打ち込んでいます。みんなの意識が高く、負けられません。
「中学3年の2023年 国際大会、全中で活躍」
―2023年は国際大会でも大活躍でした。
昨年の聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」(ブラジル)に続き、第4回世界ろう者卓球選手権大会(台湾)は2度目の国際大会でした。女子団体決勝でインドに3-0でストレート勝ちして金メダルを獲得。2試合目のシングルスに出場し、2-2からの最終セットで終盤4点リードされましたが、粘って逆転勝ちできたことが印象に残っています。個人種目でトップはとれませんでしたが、今回は団体金が目標だったので満足です。全国中学校体育大会で益田中は団体3位に入りましたが、私個人は決勝の試合で負けたのが心残りです。
―国際大会で感じたことは。
卓球は技術だけではなく、とても考えないといけない競技です。練習のときから考えて考えて答えを見つけ、自分の得意なところを知り、苦手なところも探って、克服したり、できるようになったり、その先の達成感が魅力だと思っています。海外選手と対戦して感じたのは、男子選手のように球が強く速いということ。試合の立ち上がりにすごく緊張してしまうのも自分の課題だと感じました。強い球に打ち負けないようなパワーとスピード、サーブレシーブの精度アップ、メンタルトレーニングが今後の強化ポイントだと考えています。
「毎年ひとつずつ目標達成し、レベルアップしていきたい」
―今後の目標は。
高校生になる2024年は、イランで開催されるアジア太平洋ろう者競技大会の代表権をまず獲得し全種目でメダルをとること、高校インターハイで明誠高校の団体メンバー入りが目標です。高校2年の2025年には、東京でデフリンピックが初開催されます。シングルスでの金メダル獲得を目指します。地元島根で開かれる2030年島根かみあり国スポ・全スポのときは21歳。地元での大会を盛り上げられるよう、毎年ひとつずつ目標を達成し、レベルアップしていきたいです。
(2023年12月取材)